クジラの売り込み
鯨肉を扱う食品会社や飲食店が増えている。食用として市場に出されながら在庫となる鯨肉が増え、捕鯨関係者が消費拡大策に本腰を入れているためだ。
鯨肉の売り上げは調査捕鯨の重要な財源になっている。鯨肉の消費を増やさないと調査捕鯨に支障を来す恐れがあるため、関係者にとって課題となっている。消費者が口にする鯨肉は主に、調査捕鯨で捕獲された鯨が調査後に加工され、販売されているものだ。来て共同船舶などは、鯨肉の売り込みを強めており、食品会社や飲食店などで鯨肉の販売を始めるケースが増えている。子会社「宝幸」は3月から、鯨肉の大和煮のレトルトや焼き肉の缶詰など新商品を発売した。
昨年11月から、系列の海鮮居酒屋「はな(花)の舞」全約200店で、竜田揚げや鯨肉の刺し身など七つの鯨メニューを加えた。この他、マルエツも昨年6月から、鯨肉の刺し身など10品目を販売している。日本鯨類研究所なども、鯨肉の販路拡大を目指して今年5月、民間会社の「鯨食ラボ」を設立し、大学向けなどの給食業界に鯨肉を売り込んでいる。関係者が売り込みに懸命なのは、鯨肉の供給量が大幅に増えたのに、消費量が低迷したままだからだ。ため捕獲する鯨の種類を増やしており、鯨肉の供給量は2450dから05年度に5560dに増えた。
この結果、鯨肉流通在庫(年平均)は、約2倍に膨らんだ。昨年12月、鯨肉の販売量は前年同期比で5割増えたが、流通在庫を減らすまでには至っていない。調査捕鯨ピンチ? − 調査捕鯨の年間経費約60億円のうち、9割は鯨肉の売り上げで賄っている。鯨肉が売れないと、調査捕鯨が思うようにでなくなるわけだ。
日本鯨類研究所は捕獲量を拡大する計画で、鯨肉の市場への供給量も年7000〜8000dまで拡大する見込みだ。鯨肉の消費が順調に増えないようだと、捕鯨をめぐる国際論議に影響を与える可能性もある。