漫画・アニメのノベライズが活況



漫画やアニメなどの小説化=「ノベライズ」分野が活気づいている。「漫画を活字にしただけ」と、長くまともに評価されてこなかったジャンルだが、近年は、実力派作家が次々とノベライズを発表するなど、従来にない質と広がりを獲得しつつある。 8月1日に同時発売された西尾維新の「アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」(集英社)と、「アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」(講談社)が、合計35万部と快調だ。 それぞれ、大ヒット漫画の「DEATH NOTE(デスノート)」(大場つぐみ原作、小畑健画、集英社)と、「×××HOLiC(ホリック)」(CLAMP作、講談社)をノベライズしたもの。 若者に人気の西尾氏は講談社ノベルスの「僕自身、両方の漫画の大ファンなので、(依頼を)断る理由がなかった」と、西尾氏は語る。 80〜90年代頃まで、ノベライズは原作ファンが追体験として楽しむもので、小説として評価されることは稀だった。 が、2000年代になると、漫画・アニメ世代の実力作家が、自分の好きな作品へのオマージュとしてノベライズを手がけるケースが増えてくる。宮部みゆきがゲームを(講談社)などが好例だ。 今回の仕掛け人の一人である太田克史・講談社ファウスト編集長は、ノベライズとは「原作への敬意ある挑発」だと語る。する作業は、いわば一流クリエイター同士の真剣勝負。原典をダシにしたことに、書き手も読み手も抵抗がなくなっているのではないかという。 創作姿勢で書かれたノベライズは、一個の小説作品として十分評価出来ることは指摘しておくべきだろう。 原作を知らずとも楽しめるクオリティーで、ノベライズの現代的水準を示していると言える。 10月には「週刊プレイボーイ」で、大沢在昌、逢坂剛、石田衣良ら有名ミステリー作家が、秋本治の漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」をノベライズする連作が始まる。 この分野が、いわゆる活字離れ世代にとって「読書への入り口」になっていることも無視できない。ノベライズ − 漫画やアニメのノベライズが本格化したのは1970年代以後で、「宇宙戦艦ヤマト」(石津嵐著、豊田有恒原案、1974)が一つの原点とされる。各社のライトノベル系文庫でも、ゲームなどのノベライズに人気作が多い。